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同じ日本なのになぜ?ゴミ分別の地域差が生まれる理由

 

 

他の地域へ引っ越しをして、ゴミの分別ルールの違いに直面することがあります。

 

「これは燃えるゴミじゃないの?」

 

「分別が細かすぎる…」

 

このように戸惑いと共に疑問に思う方もいるでしょう。

 

なぜ日本全国でゴミの分別方法が統一されていないのでしょうか。

 

この記事では、ゴミ分別に地域差が生まれる理由を解説します。

 

ゴミの分別に地域差が生まれる理由

ゴミの分別に地域差が生まれる理由として大きく3つあります。

 

それぞれ解説します。

 

処理施設の違いから

 

地域差が生まれる大きな理由のひとつに、自治体ごとのごみ処理施設の性能差があります。

 

特に問題になるのは、プラスチックごみを燃やす際に発生するダイオキシンなどの有害物質です。

 

焼却施設が24時間連続運転に対応し、850℃以上の高温を安定的に維持できる燃焼管理を備えているかどうかによって、ダイオキシンの発生を抑制できるかが決まります。

 

また、最終処分場の確保も大きな課題です。埋立地の容量が逼迫している自治体では、焼却処理に依存する傾向があります。

 

そのため、設備が十分に整っていない自治体では、分別をより厳格にせざるを得ません。

 

各自治体が分別ルールを決めているから

 

ごみの分別ルールは国ではなく、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づき各自治体が定めています。

 

自治体は、地域の実情に応じて独自のルールを制定しています。

 

このように全国で統一された基準が存在しないことも、地域ごとに分別方法が異なる大きな理由のひとつです。

 

人口規模の違いから

 

自治体の人口規模によっても分別ルールに違いが生じやすいです。

 

都市部は人口密度が高く収集効率も良いため、比較的簡素な分別が採用される傾向があります。

 

これに対し、地方や山間部では収集コストが高いため、収集回数を抑えるために細かな分別を課すケースが多くなります。

 

地域ごとのごみ分別の具体例

ここでは、特に差が顕著な項目について具体例を見てみましょう。

 

プラスチック

 

例えば宮崎県都城市では、プラスチック製容器包装を「燃えるごみ」として処理しています。

 

一部の自治体でも同様に燃えるごみとして収集していますが、多くの自治体では専用の区分を設けて別に回収しています。

 

紙類

 

自治体によっては古紙を「新聞」「雑誌」「段ボール」「紙パック」「雑がみ(チラシ、紙袋など)」のように種類ごとに細かく分けて回収します。

 

出し方も「ひもで縛る」「紙袋に入れる」など細かいルールが定められている場合があります。

 

有料指定袋制度

 

ごみを入れる袋についても地域差があります。

 

指定のごみ袋を使う自治体もあれば、市販のごみ袋で対応できる自治体もあります。

 

全国の約7〜8割の自治体では、有料の指定袋制度が導入されています。

 

分別が細かい地域・緩い地域の例

多くの自治体では、ごみの分別はおおよそ5〜10種類程度に設定されています。

 

大別すると「燃やすごみ」「燃やさないごみ」「粗大ごみ」「資源ごみ」に分けられ、そこからさらに細かく分別されます。

 

ゴミの分別が特に厳しい自治体としては、徳島県の上勝町が有名です。

 

上勝町では「13種45分類」という非常に細かい分別が義務付けられており、住民一人ひとりが細かな分別を徹底しています。

 

生ごみは基本的に家庭で堆肥にすることが推奨されており、町全体で焼却や埋め立てをせずにゴミゼロを目指す「ゼロ・ウェイスト宣言」を掲げています。

 

上勝町のリサイクル率は、80%を超えるという世界でも非常に高い水準です。

 

反対にゴミの分別が緩い自治体の代表は神奈川県川崎市です。

 

なんと「燃やすごみ」「燃やさないごみ」「資源物」「粗大ごみ」の4種類しかありません。

 

缶とペットボトルを分別せずにまとめて出すことができますし、新聞紙・段ボールなどもまとめて出せます。

 

ゴミの地域差の問題は今後どうなっていく?

ゴミ分別の地域差は、今後どのように変化していくのでしょうか。

 

現在、自治体の対応は二つの方向に分かれています。

 

一つ目は、分別の高度化・細分化を進める方向です。

 

リサイクル率の向上や資源循環の促進を目的に、プラスチック製品や電子機器などをより細かく分類する自治体が増えています。

 

これらの自治体では、国の資源循環政策やゼロ・ウェイスト推進の影響を受け、分別ルールの見直しや強化を積極的に進めています。

 

二つ目は、分別の簡素化を図る方向です。

 

焼却施設の性能向上や処理効率化を背景に、「燃やすごみ」「燃えないごみ」「資源」といった大まかな区分に統一し、住民の負担軽減を重視する自治体も見られます。

 

自治体ごとの処理インフラの差や人口規模、環境政策の受け止め方の違いがあり、全体で分別ルールが一本化されるのは難しい状況といえるでしょう。

 

まとめ

ゴミ分別の地域差は、各自治体の処理施設の性能や地理的条件によって生まれています。

 

一見面倒に感じる地域のルールも、その土地の環境保全と持続可能な社会づくりのために欠かせないものです。

 

私たち一人ひとりが地域のルールを理解し、実践することがより良い環境の実現につながるのではないでしょうか。

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