ゴミのリサイクル徹底解説|資源として再利用できるもの・できないもの

ゴミのリサイクルは、限られた資源を守り、CO₂排出を抑えるために欠かせない取り組みです。
日本では自治体ごとに分別ルールが設けられ、リサイクル率の向上が進んでいますが、まだ十分な水準には達していません。
一般廃棄物のリサイクル率は、約20%程度と極端に低いわけではないものの、改善の余地は大きいといえます。
本記事では、リサイクル対象となるゴミの種類や正しい分別のポイント、地域による違いについてお伝えします。
3R(リデュース・リユース・リサイクル)
環境問題を考える上で欠かせないのが「3R」という考え方です。
これは リデュース(Reduce)・リユース(Reuse)・リサイクル(Recycle) の頭文字を取ったもので、廃棄物を減らし、資源を有効に活用するための基本的な取り組みを示しています。
リデュース
廃棄物の発生そのものを抑えることです。
不要な包装を避ける、長く使える製品を選ぶといった工夫が代表例です。
つまり「ごみを出さない工夫」が最も優先される行動です。
リユース
製品をそのまま再利用することを指します。
フリーマーケットやリサイクルショップの利用、容器の再使用などが該当します。
新たな資源を使わずに済むため、資源消費を大幅に減らす効果があります。
リサイクル
使い終えたものを原料に戻し、新しい製品に生まれ変わらせることです。
ペットボトルから繊維を作る、古紙から新しい紙を作るといった取り組みが代表例です。
リサイクル可能な主要品目
ただ、どんなゴミでもリサイクルできるわけではありません。
ここでは、資源として再利用されやすい品目について紹介します。
紙類
新聞紙・雑誌・段ボールなどの紙類は、製紙工場で溶かしてパルプ化され、再び雑誌用紙やトイレットペーパー、段ボールとしてリサイクルされます。
牛乳パックなどの紙パックもリサイクル可能ですが、内側にアルミが使われているものは可燃ごみ扱いとなる場合があります。
プラスチック類
プラスチック類のリサイクルは、日本では大きく分けて3つの方法があります。
1. マテリアルリサイクル(材料リサイクル)
回収したプラスチックを細かく砕き、加熱・溶融して新しいプラスチック製品の原料として再利用します。
ペットボトルから繊維やシャンプーボトル、容器トレイなどが作られるのが代表例です。
2. ケミカルリサイクル(化学的リサイクル)
プラスチックを化学分解し、原料や油として再利用する方法です。
ガスやオイルへの変換、モノマーに分解して再度重合するプロセスなどが含まれます。
3. サーマルリサイクル(熱回収)
プラスチックごみを焼却し、その際の熱エネルギーを発電や暖房、水の加熱などに利用する方法です。
現状、日本で回収されたプラスチックごみの多くは、このサーマルリサイクルに回されています。
これは、使い捨てプラスチックや複合素材が多いこと、汚れや分別の手間といった課題から、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの実施が難しいためです。
空き缶
飲料などに使われる空き缶は、代表的なリサイクル資源のひとつです。
空き缶には主にアルミ缶とスチール缶があります。
・アルミ缶
アルミ缶は100%リサイクル可能で、品質を落とさずに循環できる貴重な資源です。
回収されたアルミ缶は溶かされ、新しいアルミ缶や自動車部品、アルミサッシなどに再生されます。
・スチール缶
スチール缶も溶かして建築資材や新たな缶に生まれ変わります。
鉄は用途が広く、大型構造物から工業部品まで幅広く再利用できます。
スチール缶は「磁石にくっつく」という性質を持つため、リサイクル工場では磁力選別機によって自動的に分別されています。
ガラス瓶
ガラス瓶は循環利用が進んでいる代表的なリサイクル資源です。
回収された瓶は粉砕され「カレット」と呼ばれる破片に加工され、新しいガラス瓶の主原料として再利用されます。
新しい瓶は、このカレットに砂や石灰石などの天然資源を加えて製造されます。
カレットの割合が高いほど生産に必要なエネルギーが少なくなり、CO₂排出削減にもつながります。
また、ガラス瓶は透明・茶色・緑色といった色ごとに分別回収されることで、品質を維持した効率的なリサイクルが可能になります。
小型家電(携帯電話、パソコンなど)
携帯電話やパソコンなどの小型家電には、金やパラジウムをはじめとしたレアメタル(希少金属)が含まれています。
そのため、日本では使用済み製品を資源として再利用する取り組みを「都市鉱山」と呼び、資源循環の観点から注目を集めています。
小型家電リサイクル法に基づき、多くの自治体では公共施設や家電販売店に回収ボックスを設置しており、一部では宅配回収サービスも行われています。
回収された製品は専門業者によって解体・分別され、金属資源などが適切に抽出・再利用されています。
衣類・繊維製品
衣類は日常的に使われる一方で、廃棄量が多い資源のひとつです。
近年はファストファッションの普及により大量廃棄が社会問題化しており、リユース・リサイクルの取り組みが重要視されています。
古着はリサイクルショップや地域の衣類回収ボックスを通じて集められ、状態の良いものは発展途上国への寄付や輸出によって再利用されます。
一方、着用や寄付が難しい衣類や布類は、工業用ウエス(雑巾)、自動車や建物の断熱材、クッション材の中身などに加工され、繊維資源として再活用されます。
近年では自治体に加えてアパレル企業も独自に衣類回収を行うケースが増えており、繊維資源の循環利用は広がりを見せています。
食用油
使用済みの食用油は、リサイクルによって主に「バイオディーゼル燃料(BDF)」や「石鹸の原料」として再利用されます。
バイオディーゼル燃料は回収した油を化学的に処理して製造され、バスやトラック、農機具などの燃料として利用されています。
また、石鹸の原料や飼料・肥料として活用されることもあります。
工場から排出される廃食用油は、リサイクルのためにほとんどが回収されています。
一方、一般家庭や飲食店から出る廃食用油は回収率が低いのが現状です。
インクカートリッジ
プリンターのインクカートリッジは、家電量販店や文具店、メーカー独自の回収ボックスなどを通じて広く回収されています。
回収されたカートリッジは分解・洗浄され、内部の金属部品やプラスチック樹脂が回収・再利用されます。
プラスチック樹脂は新しいカートリッジや他のプラスチック製品に、金属部品は新たな製造資源として生まれ変わります。
有名メーカーでは「リサイクルカートリッジ」や「エコカートリッジ」の生産が行われ、資源循環や環境配慮型製品への取り組みが進められています。
リサイクルできないもの
リサイクルには適さないものもあります。
ここでは、一般的に資源として再利用できない主なケースを紹介します。
汚れがひどいもの
食品のカスや油がべったり付着した容器は、リサイクル工程で異物混入の原因となります。
軽く水洗いしても汚れが落ちない場合は、資源として扱われず、可燃ごみとして処分されます。
複合素材の製品
異なる素材が一体化している製品は、素材ごとに分離するのが難しいため再資源化が困難です。
代表的な例として、プラスチックと金属が接着されている製品や、複数種の樹脂が使われているパッケージなどがあります。
分解が不可能な場合は、一般ごみとして扱うのが基本です。
有害物質を含むもの
電池・蛍光管・農薬容器など、有害な成分を含む製品は通常のリサイクル工程に乗せられません。
これらは自治体が指定する回収拠点や、家電量販店などの専用窓口で引き取られます。
まとめ
ゴミのリサイクルは、環境保護と資源循環型社会の実現に欠かせない取り組みです。
紙類・プラスチック・金属・ガラスのほか、小型家電や衣類、食用油など、資源として活用できる品目は数多くあります。
ただし分別の精度が低いと、再利用が難しくなります。
汚れた容器や複数素材が一体化した製品、有害物質を含むものは資源化できないため、取り扱いに注意が必要です。
自治体ごとにルールが異なるため、最新の分別情報を確認してリサイクルを心掛けましょう。
なお、ジャンボコアラでは、不用品回収の際に可能な限りリサイクル、リユースにつながるよう努めています。
処分に悩む品がある場合は、安心してご相談ください。